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日記2005 目次

夜の電話 2005.1.23(日)

日曜日はテニスの後オーちゃん(母)が来て家族での食事会が恒例だが最近は全員集合することはめずらしい。子供たちも一応全員20歳を越えて大人だしそれぞれの予定もあろう。我々夫婦は近くのスーパーで夕食の材料とお酒のつまみ(低カロリーを選ぶ)などを買い込み帰宅。夕食の準備中に私はビールとおつまみをお先にいただく。夕食は6:30分ころから一人欠けたまま始まった。そして7:30分ころにお酒と疲労からすでに睡魔の第一波に襲われる。ふと気づくとオーちゃんは自分の家に帰り居間はテレビの音だけ。遠くで私の携帯が踏み切りの着メロを奏でていた。pm10時!時計はそう告げていた。携帯にでると患者さんからだった。老夫婦2人暮らしの奥さんの方(御主人は脳梗塞後遺症で寝たきり)からで、嘔吐下痢でふらふらして行きつけの医院へ電話したが通じない、どこへかかればいいのか、救急車をよんでもいいだろうか?という内容であった。頭の回転が普通になる一瞬の間が必要だったが、状況は十分理解できた。いわゆる胃腸風邪と推定される病状だが御高齢の方にとっては亡くなられるかたも多く侮ってはいけない。今年はノロウイルスで何人も老人ホームで亡くなられるというニュースが頻繁である。自分の意見を伝え無理をせずに必要なら救急車も遠慮する必要はないことを伝えた。携帯電話には時々患者さんから指示を問い合わせる電話が入る。大抵は治療中の血糖、インスリンなどに関する質問である。強化インスリンとかインスリン治療開始の患者さんとか問題の多い患者さんには携帯での質問ができるようにしている。しかしよく考えてみると今日の電話のように夜間、時間外における糖尿病以外の病気で準緊急時にどうしたらよいか迷われる患者さんも沢山みえるのではないだろうか。以前愛知医大のときはとにかく医大の救急外来へたどりつけば応急処置のあと必要なら私と連絡がとれ翌日からはその患者さんにお会いし必要なら主治医として見させていただくこともできた。だがそのようなうまい話は一般的にはあまりないのだ。同じ病院でも担当が違えば主治医とも連絡が取れず路頭に迷うことだってある。第一夜間どこで診てもらえるのか分かりにくいし、仮にタクシーに乗ってもすぐにどこの病院へいくのか指示できる人はどれ程いるだろうか。実際は時間外診療は近くの病院・開業医さんが交代で24時間体制をとっているはずである。ただどこで診てもらえるのかあまり知られていない。患者さんにとってこのような場合の救急車要請はやむを得ないことであろう。一つの教訓として、医療に関して日ごろ決めておく必要があること、風邪などすぐにいけるホームドクター、自分が抱える慢性疾患の専門医、時間外診療の場所・電話番号。もう一度これらを確認しておこう。翌日患者さんに携帯を入れた。あれからやはり救急車で近くの病院へつれていってもらい点滴治療を受けタクシーで帰宅、元気な声が返ってきた。ほっとしていつもの糖尿病外来を始めた。

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国男

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